公開日 更新日

インプラントの種類を歯科医師が解説|材質・治療法の違いと選び方

インプラントの種類を材質・メーカー・構造・治療法の4つの視点から歯科医師が解説。チタンとジルコニアの違いや、メーカー選びのポイント、ご自身に合った治療法を紹介します。

インプラントと一口に言っても、日本国内ではさまざまなインプラントシステムが使用されています。 


材質やメーカー、手術の方法によって特徴が異なり、
「結局どれを選べばよいのか分からない」と迷われる方は少なくありません。

カウンセリングでも、
「種類によって何が違うのですか」というご質問をよくいただきます。

そこで本記事では、インプラントの種類を材質・メーカー・構造・治療法という4つの視点から整理し、
ご自身に合った選び方までを歯科医師の視点でわかりやすく解説します。

目次

インプラントの種類は「材質」「メーカー」「構造」「治療法」で整理できる

インプラントの種類を理解する近道は、分類の軸を知ることです。
数多くの製品があるように見えても、選ぶときの視点は大きく4つに整理できます。

  • 材質による違い(チタン・ジルコニア など)
  • メーカーによる違い(臨床実績・研究データ・部品供給体制など)
  • 構造・手術方法による違い(ワンピース/ツーピース、1回法/2回法 など)
  • 症例に応じた治療法の違い(骨造成、即時荷重法、All-on-4 など)


①インプラントは3つのパーツでできている

そもそもインプラントは、顎の骨に埋め込む人工歯根(フィクスチャー)
その上に立てる連結部(アバットメント)、実際に噛む人工歯(上部構造)という3つのパーツで構成されています。

土台となる人工歯根には、骨と結びつきやすいチタンが主に使われます。
パーツごとに素材や形状の選択肢があるため、組み合わせによって多くの「種類」が生まれるわけです。

出典:日本歯科医師会「テーマパーク8020|インプラント」


②なぜインプラントには種類があるのか

種類が細かく分かれているのは、一人ひとりのお口の状態が違うからです。
骨の厚みや噛み合わせ、金属アレルギーの有無、審美性への希望などに合わせて最適なパーツを選べるよう設計されています。
つまり種類の多さは、選択肢の広さと言い換えられるでしょう。

材質で選ぶインプラントの種類|チタンとジルコニアの違い

インプラントの種類は、「材質」「メーカー」「構造」「治療法」という視点で整理できます。
まずは材質の違いから見ていきましょう。

①チタンインプラントの特徴

チタンは、骨としっかり結びつく性質(オッセオインテグレーション)が確認されて以来、長く使われてきた実績のある材料です。
強度に優れ、幅広い症例に対応しやすい点が特長といえます。

金属アレルギーはまれに起こる可能性があるため、心配な方は治療前に相談しておくと安心でしょう。


②ジルコニアインプラントの特徴

ジルコニアは、白く透明感のあるセラミックの一種で、金属を含まないことが大きな特徴です。
歯ぐきが下がっても金属色が透けにくく、審美性を重視する方に選ばれる傾向があります。

また、金属を使用しないため、金属アレルギーが気になる方の選択肢となる場合があります。

一方で、硬度が高く加工が難しいため、費用は高くなる傾向があります。


③上部構造(人工歯)の素材も選べる

実際に見える人工歯の部分(上部構造)にも、ジルコニアやセラミック、ハイブリッドセラミック、
金属など複数の素材があります。
前歯など目立つ部分には自然な色調を再現しやすい素材、
奥歯など強い力がかかる部分には耐久性を重視した素材、といった使い分けが検討されます。

項目チタンジルコニア
主な特徴骨と結合しやすく実績が豊富白く自然で金属を含まない
審美性歯ぐきが下がると金属色が見える場合がある天然歯に近い色調を再現しやすい
金属アレルギーまれに起こる可能性がある金属を含まず起こりにくい
費用の傾向比較的抑えやすい高くなりやすい

出典:日本歯科医師会「テーマパーク8020」ほかをもとに作成

材質やメーカーによって費用は変わります。総額の内訳や負担を抑える方法については、『インプラントの費用はなぜ高い?総額・分割・医療費控除まで徹底解説』もあわせてご覧ください。

メーカーによる違い

①インプラントはメーカーによっても特徴が異なる 

インプラントは、欧米をはじめ、日本・韓国・中国など世界各国のメーカーで製造されています。
近年は、比較的費用を抑えやすい製品を含め、
さまざまな価格帯のインプラントシステムが選ばれるようになりました。

ただし、製造国や価格だけで品質を一律に判断することはできません。
メーカーを確認するときは、これまでの臨床実績や研究データ、日本国内での承認状況、
将来的な部品供給やメンテナンスへの対応などを総合的に見ることが大切です。

インプラントは治療後も長期的な管理が必要になるため、
歯科医院がどのメーカーを採用し、どのような理由で選んでいるのか、
治療前に説明を受けておくと安心でしょう。

②当院ではNobel Biocare社のインプラントを採用

いとしま総合歯科インプラントクリニックでは、
Nobel Biocare(ノーベルバイオケア)社のインプラントシステムを採用しています。

同社は、インプラント治療の分野で長年にわたり研究開発を行ってきたメーカーの一つです。
当院では、治療後のメンテナンスや将来的な部品供給も見据え、使用するインプラントシステムを選定しています。

インプラントのメーカーや種類がお口の状態に適しているかは、
CTなどによる検査結果をもとに歯科医師が判断します。


メーカーだけで治療方法を決めるのではなく、
骨の状態や噛み合わせ、治療後の管理まで含めて検討することが大切です。

構造・手術方法によるインプラントの種類

同じ材質でも、構造や手術の進め方によって種類は分かれます。ここでは代表的な分類を見ていきましょう。

①ワンピースタイプとツーピースタイプ

構造による分類が、人工歯根と連結部が一体化した「ワンピースタイプ」と、両者が分かれた「ツーピースタイプ」です。

ツーピースタイプは角度や高さの調整がしやすく、幅広い症例に対応できるため多くの場面で使われています。
一方でワンピースタイプは、手術回数を抑えやすいという利点があります。


②1回法と2回法の違い

手術方法には、歯ぐきの切開が1回で済む「1回法」と、2回に分けて行う「2回法」があります。

骨の量が十分で硬い場合には1回法を選べますが、骨移植が必要なケースや骨がやわらかい場合には2回法が選ばれます。

2回法では、人工歯根と骨が結合するまで上顎で5か月前後、下顎で3か月前後の期間を見込むのが一般的とされています。

出典:日本歯科医師会「テーマパーク8020|インプラント」


③即時荷重法・All-on-4®(登録商標) という選択肢

条件が合えば、手術当日に仮歯を装着する「即時荷重法」を選べる場合もあります。
また、すべての歯を失った顎に対しては、最小4本の人工歯根で全体を支える「All-on-4」という治療法も知られています。
いずれも適用できる条件が限られるため、検査のうえで判断されます。

治療法・術式分類の観点特徴
1回法手術回数手術は1回。骨が十分にある場合に選ばれ、負担を抑えやすい
2回法手術回数手術は2回。骨移植が必要な場合など幅広い症例に対応
即時荷重法荷重の時期条件が合えば手術当日に仮歯を装着できる場合がある
All-on-4全顎の設計最小4本で片顎全体を支える方法。症例により術式は異なる

分類の観点が異なる点にご留意ください。 出典:日本歯科医師会「テーマパーク8020」をもとに作成

骨が足りない場合のインプラント治療の種類

「骨が足りないのでインプラントは難しい」と言われた経験のある方もいるかもしれません。

近年は、骨の量を補う治療を組み合わせることで、対応できる範囲が広がっています。


①骨を補う治療(骨造成・サイナスリフト・ソケットリフト)

骨の厚みが不足している場合には、骨造成という処置を併用することがあります。
代表的なものに、人工の膜で骨の再生を促すGBR法、上顎の骨を持ち上げてスペースを確保するサイナスリフトやソケットリフトなどがあります。

これらを併用すると治療期間は長くなる傾向がありますが、選べる治療の幅は広がります。

出典:日本歯科医師会「テーマパーク8020|インプラント」


②精密検査が種類選びを左右する

どの種類・治療法が適しているかは、骨の状態を立体的に把握して初めて判断できます。
そのため、治療前のCT撮影による精密検査が重要な役割を担います。

診断の精度が、その後の治療計画の質を大きく左右すると考えられています。

当院がどのような機器で精密検査を行っているかは、設備案内ページでご確認いただけます。

自分に合ったインプラントの種類の選び方

インプラントの種類は「材質・メーカー・構造・治療法」を踏まえて検討します。
最後に、選ぶときに意識したい視点を整理しましょう。


①費用と長期的な視点のバランスで考える

審美性や機能性を重視するほど、選べる素材や治療法は増え、費用も変わってきます。

目先の金額だけでなく、治療後のメンテナンスのしやすさや長期的な安定まで含めて考えることが大切です。

治療にはリスクや注意点もあるため、あわせて理解しておきたいところです。

治療前に知っておきたい注意点は、『インプラントの7つのデメリットを歯科医師が正直に解説』でくわしくまとめています。


②クリニック選びで確認したいポイント

種類を適切に選ぶには、診断と説明の丁寧さが欠かせません。
相談時には、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

  • CTなど精密検査の設備があるか
  • 複数の種類・治療法を提示してもらえるか
  • 採用しているインプラントメーカーと、その選定理由を説明してもらえるか
  • 治療後に必要な部品の供給やメンテナンス体制が整っているか 
  • 費用の内訳やリスクの説明が明確か


複数の選択肢を比べ、納得して選ぶことが満足につながります。
当院のインプラント治療の考え方や流れは、下記のページでご確認いただけます。

▶ いとしま総合歯科インプラントクリニックのインプラント診療について詳しく見る

まとめ|種類の違いを理解し、歯科医師と相談して選ぶ

インプラントの種類は、材質・メーカー・構造・治療法という4つの視点で整理すると、ぐっと理解しやすくなります。

  • 材質は主にチタンとジルコニア。実績を取るか審美性を取るかで選ばれる
  • メーカーは製造国や価格だけで判断せず、臨床実績・研究データ・部品供給やメンテナンスの体制も確認する
  • 構造・手術方法は骨の状態に応じて、ワンピース/ツーピース、1回法/2回法などから選択
  • 骨が少ない場合も、骨造成を併用できる可能性がある
  • 最終的な種類は、精密検査と歯科医師との相談で決めるのが安心


ご自身に最適な種類は、お口の状態によって変わります。
まずは検査と相談を通じて、納得できる選択肢を見つけていきましょう。

自由診療について

✅インプラント治療は自由診療(保険適用外)で、原則として全額自己負担となります。
✅費用・治療期間・通院回数は症例によって異なるため、詳細は診査・診断のうえで個別にご案内します。
✅効果の現れ方には個人差があります。
✅外科処置を伴うため、次のようなリスクが考えられます。治療の可否は、検査結果をもとに判断します。

  • 腫れ・痛み・出血
  • 感染・神経損傷
  • インプラント周囲炎
  • 骨の状態によっては適用できない場合がある

この記事の監修者

いとしま総合歯科インプラントクリニック
院長 星元 健佑(歯科医師)  

■監修者コメント  

私が診療において常に心がけているのは、「自分の家族だったらどの治療を選択するか」という視点です。  
治療法については、可能な選択肢のメリット・デメリットを丁寧にご説明し、そのうえで適切と考えられる治療をご提案いたします。  最終的な判断は患者様ご自身に委ねており、考えを押し付けることはありません。  

また、自由診療のみを勧めることもなく、費用面のご不安にも配慮した診療を行っています。  
当院では、定期的な勉強会やスタッフ教育を通じて医療の質向上に努めるとともに、歯科用CTや口腔内スキャナーを活用し、診断や治療計画に役立てています。  

お口のことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。  

■略歴  
2016年 長崎大学歯学部 卒業  
2017年 鹿児島大学にて臨床研修修了(口腔外科領域を中心に研鑽)  
2018年 オパールデンタルクリニックで特にインプラントやセラミック治療の技術を習得  
2022年 カナダへ単身で赴任  
帰国後 九州の複数の歯科診療所に勤務  
2024年 いとしま総合歯科インプラントクリニック 院長就任