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虫歯の見分け方は?早期発見のヒントを紹介

歯の黒ずみや痛み、冷たいものがしみるといった症状に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。虫歯は進行するほど治療が大がかりになるため、早期発見・早期治療が何よりも大切です。しかし、初期段階の虫歯は自覚症状が乏しく、見た目の変化もわずかなため、見逃してしまうことも少なくありません。

本記事では、虫歯の見分け方や初期症状のサイン、さらに虫歯と間違えやすいほかの症状との違いについても詳しく解説します。毎日の歯のケアや定期検診と合わせて、ぜひ自分自身でも虫歯のサインに気づけるようになりましょう。

目次

虫歯の見分け方

虫歯の早期発見には、歯の表面の色や感触といった小さな変化を見逃さないことが大切です。以下6つに注目することで、自分自身でもある程度の判断がしやすくなります。

  • 歯の表面に黒い点や白濁がある
  • 歯の表面がザラザラしている
  • デンタルフロスがひっかかる
  • 冷たいものや甘いものがしみる
  • 噛んだときに痛みや違和感がある
  • 口臭が強い

それぞれ見ていきましょう。

歯の表面に黒い点や白濁がある

歯の表面にポツンと黒い点があり、一部だけ白く濁ったように見える場合は、虫歯の初期症状である可能性があります。痛みやしみがなくても、エナメル質の下で徐々に虫歯が進行しているケースは珍しくありません。とくに奥歯の溝や歯と歯のあいだなど、磨き残しが生じやすい部位に黒点が認められるときは要注意です。

一部の歯だけ色が変わっている・痛みを感じるなどの症状が重なるなら、早めに歯科医院を受診して検査を受けましょう。初期の段階なら治療範囲が限られ、健康な部分を多く残す処置も可能です。

着色汚れとの違い

すべての歯がほぼ均等に黒ずんでいる、または特有の痛みを感じない場合は「着色汚れ」の可能性が高いといえます。着色汚れであれば、クリーニングや生活習慣の見直しによって改善が期待できることが特徴です。

一方、痛みが出る・特定の歯だけ黒い、溝に沿って黒くなっているときは虫歯のリスクが高いため、早めに歯科医院へ相談しましょう。

歯の表面がザラザラしている

エナメル質が溶け始めると歯の表面に微細な凹凸ができ、舌で触れたときにザラザラした感触を覚えることがあります。初期では痛みやしみがなく目視でも分かりにくいかもしれませんが、柔らかくなった部分からさらに深部へと進行すると、穴が広がりやすくなってしまいます。

ザラつきが気になるからといって、過度なブラッシングや硬い歯ブラシを使うと逆効果になることもあるため注意が必要です。もしザラザラした感覚が続くようなら、一度歯科で表面の状態を確認してもらい、必要に応じてフッ素塗布やクリーニングを受けるとよいでしょう。

デンタルフロスがひっかかる

歯と歯のあいだにデンタルフロスを通した際、スムーズに抜けない、ひっかかる感じがある場合は虫歯の初期サインかもしれません。とくに歯と歯の境目は、ブラッシングだけでは磨き残しが出やすく、プラーク(歯垢)が溜まることで虫歯菌が繁殖しやすい箇所です。

狭い隙間に小さな穴が開き始めると、フロスに抵抗が生じ、場合によってはフロスがほつれてしまうことも。また、詰め物や被せ物が劣化して段差ができている場合も引っかかりの原因になりますが、こうした状態も虫歯の再発(二次カリエス)を引き起こすリスクが高いです。

冷たいものや甘いものがしみる

冷たい飲み物や甘いお菓子を口にしたとき、「ピリッ」とした違和感や「ズキン」とした痛みが走る場合は、虫歯の可能性が高まります。エナメル質が一部溶け、歯の神経に近い部分がむき出しになっていると、刺激が直接神経に伝わり、しみを感じやすくなるのです。

初期の虫歯では一過性のしみで済むこともありますが、進行すると温かい食べ物や常温の飲み物でも痛みを感じるケースへと移行しがちです。しみが続くようなら、歯科医院で正確な診断を受けましょう。

関連記事:虫歯の初期症状は?初期段階ではどんな治療を行う?

知覚過敏との違い

知覚過敏も冷温刺激で痛みを感じる症状ですが、痛みが一瞬で引く場合は、知覚過敏の可能性が比較的高いといえます。

一方、痛みが持続しだすと虫歯が疑われるため要注意です。また、歯茎の後退や歯のひび割れが見られる場合は知覚過敏による痛みのケースもあるため、自己判断で放置せずに一度歯科医の診断を受けると安心です。

噛んだときに痛みや違和感がある

食事中や歯ぎしりの際に「ズキッ」と痛む、あるいは噛み合わせるたびに軽い違和感がある場合、虫歯が進行して歯の内部や根元にまで影響が出ているかもしれません。歯髄(神経)に近い部分で感染が起こっていると、噛むだけで痛みを感じることが多く、放置すれば神経を抜く治療が必要になる可能性もあります。

また、痛みを避けるため片側だけで噛み続けていると、顎関節やほかの歯に負担がかかるため注意が必要です。噛んだときの違和感は虫歯だけでなく、詰め物や被せ物の不具合、歯周病など別の原因も考えられます。

口臭が強い

虫歯菌や歯周病菌が繁殖している環境では、嫌なにおいを発するガスが多量に生み出されることがあります。初期の虫歯でも、食べかすが残りやすい奥歯の溝や歯と歯のあいだに細菌が集まり、結果的に口臭へとつながるケースが少なくありません。

とくに口臭を自覚しにくい人も多いため、周囲に指摘されてはじめて虫歯の存在に気づく場合もあります。また、口臭が強くなる原因は虫歯だけでなく、歯周病や舌苔、胃腸の不調など多岐にわたるので、原因を切り分けることが大事です。

初期の虫歯を食い止めることはできる?

初期の虫歯として現れる黒い点は、歯の表面が溶かされ始めているサインですが、適切なケアを行うことでまだ進行を抑える可能性があります。毎日のブラッシングではフッ素配合の歯磨き粉を活用し、再石灰化を促すとともに食べかすやプラークを丁寧に除去しましょう。

さらにキシリトールガムを噛む、歯科医院で定期的にクリーニングを受けるといった対策も有効です。こうしたセルフケアと歯科医師による経過観察やフッ素塗布を組み合わせれば、穴が開く前の段階で自然に回復できる可能性が高まります。ただし、痛みや冷たいもののしみに気づくほど進行してしまった場合は、削って治療を行う必要があるため、早期発見と早めの対処が欠かせません。

関連記事:虫歯の進行速度はどれぐらい?段階別の治療方法も解説

虫歯が発生する3つの原因

虫歯は複数の要素が重なって生じると考えられています。ここでは以下の3つを確認し、どのように予防できるかを把握しましょう。

  • 糖分
  • 原因菌
  • 歯質

詳しく解説します。

関連記事:虫歯を放置するとどうなる?治療方法も紹介

糖分

糖分は、虫歯を引き起こす大きな要因の1つとして知られています。砂糖やブドウ糖などの糖類を摂取すると、口内の細菌がそれを栄養源として増殖し、歯の表面を溶かす酸を産生しやすくなるからです。お菓子や甘い飲み物を頻繁に口にすると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、エナメル質の脱灰(だっかい)が進みやすくなります

また、食事と食事のあいだに摂る間食や、夜遅くのデザートなども歯磨きがおろそかになりがちで、虫歯リスクを高める一因となります。これを防ぐには、甘いものを食べたあとの丁寧な歯磨きはもちろん、食生活全体を見直すことがポイントです。

原因菌

虫歯のおもな原因菌として有名なのは、ストレプトコッカス・ミュータンス菌(ミュータンス菌)をはじめとする細菌群です。これらの細菌は、食事で摂取した糖分を餌にして酸を生成し、歯の表面や歯周組織を溶かします。

口内にはもともと多様な細菌が存在していますが、プラーク(歯垢)の中でこれらの原因菌が増殖しやすい環境になると、虫歯リスクが一気に上昇するのが厄介な点です。さらに、唾液が減少しがちな夜間やストレス時には、口内を洗浄する機能が低下するため、細菌がより活発に活動する環境が整ってしまいます。こうした悪循環を断つには、こまめなブラッシングと歯間ケアの習慣をつけることが重要です。

歯質

虫歯の発生には個人差があり、歯質の強さや唾液の量・質といった生まれつきの要素も大きく影響します。エナメル質が比較的薄い、あるいはミネラル成分が少ない歯は酸に対する抵抗力が弱く、虫歯になりやすい傾向があります。

また、唾液には口内を中性に保ち、脱灰した歯を再石灰化する働きがあるため、唾液量が少ない人や夜間の唾液分泌が減少しやすい人は注意が必要です。生活習慣や健康状態によって唾液の分泌量が変わるため、口渇(こうかつ)を感じやすい時期は虫歯リスクが高まるともいわれています。

関連記事:虫歯の初期症状は?初期段階ではどんな治療を行う?

まとめ

虫歯は、糖分や原因菌、歯質の3つの要因が重なり合うことで発生します。早期に虫歯を発見し、適切なケアを行うことで、痛みや高額な治療を避けられます。

糸島市の総合歯科医院「いとしま総合歯科インプラントクリニック」では、患者さま目線で最適な治療を提供。個室や半個室の診療室を完備し、インプラントセンターも併設しています。

また、チーム医療や高度な医療機器を活用して、安心して治療を受けていただける環境を整えています。虫歯が心配な方は、ぜひ当院で診察を受けてみてください。健康的な口腔環境を維持するためのサポートをいたします。

この記事の監修者

院長 星元健佑

当院院長の星元健佑です。私が、診療において常に心がけているのは、「自分の家族だったらどの治療を選択するか」ということです。
治療法に関しては、でき得るすべての治療法のメリット・デメリットを丁寧に患者様にご説明した上で、ベストだと思う治療法をお伝えいたします。
しかし、最終的に決断されるのは患者様ご自身ですので、決して私の考えを押しつけるようなことはいたしません。
もちろん、自由診療だけをお勧めすることもありませんので、費用面でご不安に感じている方は安心して受診いただけたらと思います。
当院では、月に1回午後を休診にし、勉強会とスタッフのトレーニングを実施しており、スタッフ全員のスキルアップにも取り組んでいます。
また、口腔内スキャナーや歯科用CTなども活用し、専門的な診療を提供できる体制づくりにも注力。口腔内を総合的に診られるのが当クリニックの特徴です。 お口に関してお困り事があればお気軽にご相談ください。

〈略歴〉

私の歩みは、2016年に長崎大学歯学部を卒業したことから始まりました。2017年には鹿児島大学での臨床研修を修了し、特に口腔外科の技術を学びました。2018年はオパールデンタルクリニックで、インプラント治療やセラミック治療の技術を身につける機会に恵まれました。
その後、2022年にはカナダへ単身で渡り、国際的な視野でさまざまな知見を吸収する貴重な経験を積みました。
帰国後は、九州の複数の歯科診療所で実践を重ね、患者さま一人ひとりに寄り添った治療を学びました。
2024年からは、当院の院長として、皆さまの健康と笑顔のお手伝いができるよう努めています。

2016年 長崎大学歯学部卒業
2017年 鹿児島大学にて臨床研修修了 特に口腔外科領域の技術を習得
2018年 オパールデンタルクリニックに勤務 特にインプラントやセラミック治療の技術を習得
2022年 カナダに単身で赴任 現地で様々な知見を収集 帰国後、九州の複数の歯科診療所に勤務
2024年 当院院長に就任