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虫歯の初期症状は?初期段階ではどんな治療を行う?

虫歯は初期段階では痛みがほとんどなく、小さな変化を見逃してしまうことが多いものです。歯の表面のわずかな変色や、冷たいものがしみるといった軽い症状が現れたときが、治療のタイミングです。初期の虫歯は治療も簡単で、歯を大きく削る必要もありません。

本記事では、虫歯の初期症状の特徴やその発見方法、放置するリスクと初期段階での治療法を解説します。自分の歯を守るために、ぜひ初期症状のサインを知って、早めの対処を心がけてください。

目次

虫歯の初期症状

虫歯は進行するまで痛みを感じにくいため、初期症状を知っておくことが大切です。初期段階では見た目の変化や軽い違和感として現れることが多く、この時点で発見できれば治療も比較的簡単に済みます。虫歯の初期症状は、以下の7つが代表的です。

  • 歯の表面が変色する
  • 歯と歯ぐきのあいだが白くなる
  • 奥歯の溝が黒くなる
  • 詰め物の周りが変色する
  • 冷たいものや甘いものがしみる
  • 食べ物が歯に詰まる
  • フロスがひっかかる

詳しく解説します。

歯の表面が変色する

虫歯の初期段階では、歯の表面にうっすら白い斑点や茶色い着色が見られることがあります。これは歯のエナメル質が溶け始めてミネラルが失われ、表面の色合いに変化が生じるためです。とくに、鏡でじっくり見てはじめて気づくような細かい変色は要注意です。

変色の段階で痛みを感じるケースは少ないですが、進行するとしみや痛みが強くなるおそれがあります。気になる変色がある場合は早めに歯科医院を受診し、適切なケアを行いましょう。変色が見つかった際は、ブラッシング習慣やフッ素配合の歯磨き粉を利用するなど、早めの対策で症状の進行を防げます

歯と歯ぐきのあいだが白くなる

歯と歯ぐきの境界付近が白濁するのは、初期の虫歯が原因で歯の表面が脱灰(だっかい)し始めているサインかもしれません。この部分は歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい特徴があります。プラーク(歯垢)には多くの細菌が含まれており、それらが酸を産生してエナメル質を溶かすことで白い斑点が生じるのです。

白くなる程度で痛みがない場合でも、放置すると進行してしみや痛みを感じるようになる可能性があります。歯と歯ぐきのあいだが白く変色しているのを見つけたら、早めに歯科医院で検診を受けましょう。

奥歯の溝が黒くなる

奥歯の溝が黒く見えるときは、溝の奥に汚れが溜まり、虫歯菌が繁殖してエナメル質が侵され始めている可能性があります。奥歯は噛み合わせの圧力が強く、凹凸が多い構造のため、歯ブラシだけでは磨き残しが生じやすい部位です。とくに溝の深い部分は歯ブラシの毛先が届きにくく、プラークが溜まりやすくなります。

初期段階では歯の表面が少し黒ずむだけで痛みを感じない場合もありますが、そのまま放置すると溝の内部で虫歯が大きく進行してしまうおそれがあります。定期的に歯科医院で検査を受け、必要に応じてシーラント(溝を埋める処置)やフッ素塗布を行うことで、黒ずみの進行を抑えることが可能です。

関連記事:初期の虫歯「黒い点」が見つかったらどうする?因から対処法まで解説

詰め物の周りが変色する

詰め物の周囲が変色するのは、すでに治療した部分に再び虫歯が発生している可能性を示します。これは二次カリエスと呼ばれ、詰め物と歯との隙間に細菌やプラークが入り込むことで起こる現象です。初期の段階ではあまり痛みを感じない場合が多く、気づかないうちに進行することも珍しくありません。

定期検診で詰め物の状態を確認してもらうだけでなく、自宅でも鏡などを使ってチェックを行い、変色や浮きが見られたら早めに相談しましょう。詰め物の素材によっては経年劣化による変色も考えられるため、必要に応じて補綴物(ほてつぶつ)の再作製や修復を検討することも重要です。

冷たいものや甘いものがしみる

冷たい飲み物や甘いお菓子を口にした瞬間、「ズキッ」としたしみる感覚がある場合は、初期の虫歯が原因の1つと考えられます。虫歯になると歯の表面を保護しているエナメル質が徐々に溶け始め、内部の象牙質がむき出しに近い状態になるため、神経への刺激が伝わりやすくなります。

初期段階では短時間の軽いしみだけで済むことが多いですが、進行すると温かい飲み物でもしみるようになり、持続的な痛みを伴う可能性も。もし症状が続く場合は、歯科医院を受診して原因を正確に調べてもらうことが大切です。

食べ物が歯に詰まる

食事中に歯と歯のあいだや奥歯のくぼみに食べ物がよく詰まると感じる場合は、初期の虫歯によって歯の形状が微妙に変化しているかもしれません。虫歯でエナメル質が溶け始めると、歯の表面がわずかにくぼんだり段差が生じたりするため、食べかすが溜まりやすくなります。とくに繊維質の多い食べ物や粘着性のあるものがひっかかるようになったら、要注意です。

詰まりやすさを放置すると、バイオフィルム(歯垢が強固に固まったもの)が形成されやすくなり、さらに虫歯が進行しやすい環境を作ってしまいます。日ごろから歯間ブラシやデンタルフロスなどを活用し、重点的にケアしましょう。

フロスがひっかかる

デンタルフロスがいつもと違う部分でひっかかる場合は、初期の虫歯による歯の表面の凹凸や、詰め物の劣化が進んでいる可能性があります。スムーズに通らない箇所はプラークが溜まりやすく、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすい環境となるため、注意が必要です。とくに、以前に詰め物やかぶせ物の治療を受けた箇所でひっかかるなら、二次カリエス(治療後の再発)が進行しているおそれも。

フロスの引っかかりは軽視されがちですが、定期的に観察することで虫歯を早期発見するチャンスになります。フロスがスムーズに通らないと感じたら、歯科医院で状態を確認し、正しいセルフケアの方法や必要な治療を相談することが大切です。

虫歯の初期症状を発見する方法

虫歯の初期症状を見つけるには、日々のチェックと専門家の診断が欠かせません。以下の3を意識することで、軽度の症状に早めに気づき、大がかりな治療を防げます。

  • セルフチェック
  • 定期的な歯科検診
  • レントゲン検査

それぞれ見ていきましょう。

セルフチェック

歯みがき時に鏡を使って歯と歯ぐきの状態を観察し、しみや食べ物の詰まりなどの違和感を確かめる方法です。具体的には、歯の色の変化や歯ぐきとの境目の白濁、奥歯の溝の黒ずみなど、目視で分かる変化に注意します。また、歯ブラシやフロスが当たったときに痛みを感じるポイントがないかチェックするのも有効です。

しかし、セルフチェックはあくまで目安であり、完全に虫歯の有無を把握できるわけではありません。少しでも違和感を覚えたら早めに歯科医院を受診し、専門家の診断を受けることが大切です。セルフチェックとプロの診断を併用することで、見落としを最小限に抑えられます。

関連記事:虫歯の見分け方は?早期発見のヒントを紹介

定期的な歯科検診

歯科医院では、専門の器具やプロの視点で歯の表面や歯ぐき、噛み合わせなどを総合的にチェックします。確認しづらい歯と歯のあいだや歯周ポケットの状態を詳しく診るため、初期段階の虫歯だけでなく歯周病などのリスクも同時に把握可能です。

さらに、検診時に歯垢や歯石を除去することで、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える効果も期待できます。歯科検診は一般的に3~6ヶ月に一度が目安ですが、自分の生活習慣やリスクに合わせて通院スケジュールを決めましょう。

レントゲン検査

目視では判断が難しい初期の虫歯や、歯と歯のあいだ、詰め物の下に隠れた進行具合を確認するには、レントゲン検査が有力な手段です。レントゲンを撮ることで、歯の内部や顎の骨の状態を透過画像として確認できます。表面上は目立った症状が見られなくても、内部で進行中の小さな虫歯を把握しやすくなります

二次カリエス(以前に治療した部分が再度虫歯になること)や、奥歯同士が密着している箇所の発見に威力を発揮。レントゲン検査を定期検診と組み合わせることで、初期の虫歯を見逃さず、深刻な症状に至る前に対処することが可能です。

初期の虫歯を放置するリスク

初期の虫歯は痛みやしみなどの症状が軽微なため、放置しがちです。しかし、微小な虫歯が拡大すると、やがて神経や歯ぐきへの負担が増し、激しい痛みや根管治療が必要になる可能性も。また、細菌が増えると口臭や歯周病のリスクも高まり、全身の健康にまで影響を及ぼすおそれがあります

さらに、治療が後手に回るほど削る範囲や治療費が大きくなり、通院回数も増える傾向に。結果として抜歯やインプラント治療が必要になるケースもあり、肉体的・経済的負担が一層大きくなるかもしれません。こうしたリスクを避けるためにも、早期発見・早期治療が不可欠です。小さな異変を見逃さず、普段から口内環境を清潔に保つ習慣を心がけましょう。

関連記事:虫歯を放置するとどうなる?治療方法も紹介

初期の虫歯の治療方法

虫歯の治療方法は、進行度合いによって大きく異なります。早期発見であれば、歯を削らずに済むこともあります。虫歯の進行度合いは一般的にC0からC4までの5段階で表されますが、初期段階と考えられるのはC0からC2までです。

進行度状態おもな症状治療法
C0エナメル質の初期脱灰ほぼ無症状、白斑フッ素塗布、再石灰化
C1エナメル質内の虫歯軽度の知覚過敏最小限の切削と充填
C2象牙質に達した虫歯冷たいものがしみる深めの切削と充填

それぞれの段階に応じた治療法を理解しておくことで、早期発見・早期治療の重要性がより明確になります。

C0:再石灰化を促す

C0(シーゼロ)は、歯の表面のエナメル質に微細な脱灰(だっかい)が起こり始めた状態です。この段階ではまだ穴が開いていないため、適切なケアとフッ素の活用で再石灰化を促せます。具体的には、毎日の歯磨きを丁寧に行い、フッ素配合の歯磨き粉や洗口液を使うのが効果的です。

また、食事や間食の回数を見直し、糖分を控えることで、虫歯菌が酸を産生する機会を減らすことも重要です。歯科医院に行けば、フッ素塗布やシーラント(歯の溝を埋める予防処置)といった専門的なケアを受けられるため、初期状態であっても早めに受診しましょう。

C1:少しだけ削って詰め物をする

C1(シー・ワン)は、エナメル質の表面が穴として認められ始めた状態で、内部まで深く進行していません。再石灰化だけでは回復が難しいため、患部を少しだけ削ってからレジンなどの詰め物を施すのが一般的です。削る範囲が比較的狭いため、治療後の歯の形態を保ちやすく、治療回数も短期間で済むことが多いのが特徴です。

ただし、削る量が少ないからといって油断は禁物で、治療後も同じ場所にプラークが溜まらないよう、適切なブラッシングとフロスの活用を要します。放置して深い層(象牙質や神経付近)まで虫歯が広がると、より大きく削らなければならない可能性が高まるので、早めに歯科医院へ行くことが大切です。

C2:深く削って詰め物をする

C2(シー・ツー)は、虫歯がエナメル質を越えて象牙質にまで進行している状態です。この段階では、削らなければならない範囲がC1に比べて広がり、歯の内部構造にも影響が出始めています。痛みやしみが表れることが多く、場合によっては神経に近い部分まで到達しているため、詰め物の素材や形態も考慮して修復を行わなければなりません。

治療には多少時間がかかるうえ、歯質を多く削ることになるため、歯の耐久力や審美性にも影響が及ぶ場合があります。再発を防ぐため、治療後も歯と歯のあいだなど磨き残しが出やすい箇所を重点的にケアし、定期検診やクリーニングを受けることが大切です。

関連記事:虫歯の進行速度はどれぐらい?段階別の治療方法も解説

まとめ

虫歯の初期症状を見逃さず、早めにケアを行うことで、痛みや治療費の負担を大幅に軽減できます。糸島市の総合歯科医院「いとしま総合歯科インプラントクリニック」では、患者さま目線のチーム医療や先端機器を活用した高精度な診療を実施しています。

個室・半個室の治療環境やインプラントセンター併設で、幅広いお口の悩みに対応。また、ヨーロッパ基準の滅菌体制をはじめ、高度な医療機器を積極的に導入し、インビザラインなど審美性の高い矯正治療も行っています。気になる症状があれば、お早めにご相談ください。

この記事の監修者

院長 星元健佑

当院院長の星元健佑です。私が、診療において常に心がけているのは、「自分の家族だったらどの治療を選択するか」ということです。
治療法に関しては、でき得るすべての治療法のメリット・デメリットを丁寧に患者様にご説明した上で、ベストだと思う治療法をお伝えいたします。
しかし、最終的に決断されるのは患者様ご自身ですので、決して私の考えを押しつけるようなことはいたしません。
もちろん、自由診療だけをお勧めすることもありませんので、費用面でご不安に感じている方は安心して受診いただけたらと思います。
当院では、月に1回午後を休診にし、勉強会とスタッフのトレーニングを実施しており、スタッフ全員のスキルアップにも取り組んでいます。
また、口腔内スキャナーや歯科用CTなども活用し、専門的な診療を提供できる体制づくりにも注力。口腔内を総合的に診られるのが当クリニックの特徴です。 お口に関してお困り事があればお気軽にご相談ください。

〈略歴〉

私の歩みは、2016年に長崎大学歯学部を卒業したことから始まりました。2017年には鹿児島大学での臨床研修を修了し、特に口腔外科の技術を学びました。2018年はオパールデンタルクリニックで、インプラント治療やセラミック治療の技術を身につける機会に恵まれました。
その後、2022年にはカナダへ単身で渡り、国際的な視野でさまざまな知見を吸収する貴重な経験を積みました。
帰国後は、九州の複数の歯科診療所で実践を重ね、患者さま一人ひとりに寄り添った治療を学びました。
2024年からは、当院の院長として、皆さまの健康と笑顔のお手伝いができるよう努めています。

2016年 長崎大学歯学部卒業
2017年 鹿児島大学にて臨床研修修了 特に口腔外科領域の技術を習得
2018年 オパールデンタルクリニックに勤務 特にインプラントやセラミック治療の技術を習得
2022年 カナダに単身で赴任 現地で様々な知見を収集 帰国後、九州の複数の歯科診療所に勤務
2024年 当院院長に就任