虫歯の治療は痛いの?痛みを感じるときの原因を解説

虫歯の治療は痛いというイメージをもっている方は多いでしょう。近年の歯科治療ではなるべく痛みを感じさせないことを重視し、さまざまな工夫がされています。
本記事では、虫歯治療の痛みの原因や、痛みを抑えるための工夫を解説します。虫歯治療に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
虫歯の治療は痛いのか

虫歯の治療が痛いかは、虫歯の進行度によります。虫歯の進行がエナメル質にとどまるものなら、削る必要がないか、治療時に痛みを感じないことが大半です。
しかし、進行して象牙質や神経にまで達すると、治療時の痛みを防ぐために麻酔が必要です。
近年では、痛みの少ない治療を重視する歯科医院が増えてきています。麻酔の注射時の痛みを軽減するために、極細の針を使用したり、表面麻酔を施したりなど、さまざまな対策がとられています。
虫歯の治療が痛いというイメージは、過去のものになりつつあるでしょう。

歯医者で麻酔の痛みを抑えるために行っていること
痛みを抑えるために行っていることは、下記のとおりです。
- 表面麻酔を塗布する
- 細い針を使う
- 針を刺す角度や麻酔の入れ方を工夫する
詳しく解説します。
表面麻酔を塗布する
麻酔の針を刺すときに感じるチクッとした痛みを軽減するために、多くの歯科医院では表面麻酔を使用しています。表面麻酔とは、麻酔薬を歯茎の表面に塗ることで、その部分の感覚を鈍らせる方法です。
通常、塗布してから数分待つことで効果が現れ、針が刺さる瞬間の痛みを大幅に抑えられます。
また、ジェル状やスプレータイプの表面麻酔があり、歯科医師が患部に適した方法を選びます。痛みに敏感な方やお子さま、高齢者におすすめです。
表面麻酔を効かせると、そのあとの局所麻酔の痛みも感じにくくなり、快適に治療を受けられます。
細い針を使う
麻酔時の痛みは、針の太さにも影響されます。一般的に、針が太いほど刺さるときの痛みが強くなるのが特徴です。近年の歯科医院では、極細の麻酔針(33Gや35G)を使用して、痛みを最小限に抑えています。
細い針を使うことで、歯茎の組織への圧迫感が少なくなり、針を刺したときの違和感や痛みが軽減されます。また、細い針は刺入時の傷口が小さいため、麻酔後の違和感や腫れも起こりにくいでしょう。
また、歯科医師の技術によっても痛みの感じ方が変わります。細い針と適切な刺入方法の組み合わせで、患者が快適に治療を受けられるように工夫されています。
針を刺す角度や麻酔の入れ方を工夫する
熟練した歯科医師は、痛みを感じにくい角度で針を刺し、慎重に麻酔薬を注入する工夫をしています。針のカット面(先端の斜めの部分)を歯茎に対して適切な角度で当てることで、スムーズに刺入でき、痛みを軽減できます。
また、一気に薬液を注入すると、組織が急激に膨らみ痛みを感じやすくなるため、 時間をかけて注入するのがポイントです。
さらに、麻酔時に頬の粘膜を引っ張ったり、歯茎を軽く振動させたりしながら注入するのも効果的です。神経の感覚を分散させ、痛みを感じにくくなります。
虫歯治療の痛みを抑えるためのポイント

虫歯治療の痛みを抑えるためには、下記のポイントを押さえましょう。
- できるだけ早い段階で治療を受ける
- 痛みの少ない治療を行っている歯医者を選ぶ
- リラックスして治療を受ける
詳しく解説します。
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できるだけ早い段階で治療を受ける
虫歯がエナメル質の段階であれば、削る必要がないか、ほぼ痛みのない処置で済みます。しかし、象牙質や神経にまで進行すると、治療時の痛みが増し、麻酔が必要になるケースが多くなります。
そのため、なるべく早い段階で治療を受けることが、虫歯治療の痛みを抑えるポイントです。
なお、初期の虫歯は自覚症状がない場合が多いため、定期的な歯科検診をおすすめします。痛みが出てからではなく、違和感を覚えた段階で受診すれば、治療時の痛みを最小限に抑えられるでしょう。
関連記事:虫歯の進行速度はどれぐらい?段階別の治療方法も解説
痛みの少ない治療を行っている歯医者を選ぶ
歯科医院によって、治療方針や技術は異なります。近年は痛みを抑えた治療に力を入れている歯科医院が増えており、麻酔の工夫や最新の治療機器を導入しているところもあります。
歯医者を選ぶ際には、口コミや公式サイトの情報を確認し、痛みに配慮した治療を行っているかチェックしましょう。また、痛みに弱いことを事前に伝えれば、丁寧な治療を受けられる可能性があります。
リラックスして治療を受ける
治療中の痛みは、心理的な不安や緊張によって増幅されることがあります。リラックスしているときより、緊張している方が痛みを強く感じやすい傾向があります。
そのため、なるべくリラックスした状態で治療を受けることが大切です。おすすめのリラックス方法は、下記のとおりです。
- 深呼吸を意識する
- 治療前に軽くストレッチをする
- 好きな音楽を聴く
また、歯科医師に相談し、笑気麻酔のようにリラックス効果のある方法を試してみるのもよいでしょう。
虫歯の治療後に患部が痛くなる原因

虫歯の治療を受けたあとも、痛みが続くと感じる場合があります。原因は、下記のとおりです。
- 神経が敏感になっている
- 神経が炎症を起こしている
- 詰め物・被せ物が神経を刺激している
- 神経が残っている
詳しく見ていきましょう。
神経が敏感になっている
虫歯が象牙質(歯の内側の層)に達していると、治療時の刺激によって神経が過敏になり、一時的に痛みを感じやすくなります。熱いものや冷たいものを飲食すると、しみる感覚が出ることが特徴です。
通常は時間の経過とともに神経が落ち着き、痛みも軽減されます。ただし、痛みが長引く場合や、ズキズキとした痛みが続く場合は、神経の炎症やほかの問題が原因の可能性があります。
不安な方は、歯科医院で再診を受けましょう。
神経が炎症を起こしている
治療後に強い痛みがあると、神経が炎症を起こしている可能性があります。炎症が強いと、何もしていなくても痛みが続くことがあります。夜間に痛みが増す場合は、神経が大きくダメージを受けている可能性が高いでしょう。
このような症状が出たら、神経を取り除く根管治療が必要になるケースもあります。痛みが強い場合は早めに歯科医院を受診し、適切な処置を受けましょう。
詰め物・被せ物が神経を刺激している
治療後に詰め物や被せ物をした歯が痛む場合は、神経を刺激している可能性があります。原因は、下記のとおりです。
- 詰め物・被せ物の高さが合っていない
- 詰め物・被せ物が密着しすぎている
- 金属製の詰め物による温度変化が起きている
この場合、歯科医院で噛み合わせの調整を行えば、痛みが軽減されるでしょう。違和感が続くなら、早めに相談するのが賢明です。
神経が残っている
根管治療を行ったにもかかわらず、神経が一部残ってしまっている場合、治療後に痛みが続くことがあります。
根管治療では、虫歯が進行して歯の神経(歯髄)にまで達した際に、神経を取り除き、根管内を消毒・封鎖する処置を行います。しかし、根管は細く複雑な形状をしているため、完全に神経を除去できないことも。
神経が一部残っていると、炎症が続く・細菌が繁殖するなどが原因で、ズキズキとした痛みを引き起こします。このような場合、再度根管治療を行い、残った神経を取り除く必要があります。
治療しても長期間痛みが続く、噛んだときに強い痛みを感じる場合は早めに歯科医院を受診し、適切な処置を受けましょう。
治療後の痛みの対処法

治療後の痛みは、時間とともに自然に治ることが大半です。しかし、痛みが強い場合や長引く場合は適切な対処を行う必要があります。
具体的な対処法は、下記のとおりです。
- 痛み止めを服用する
- 患部を外側から冷やす
- 刺激の強い食べ物やお酒を控える
詳しく解説します。
痛み止めを服用する
市販の鎮痛剤は、歯の痛みを抑える効果があります。痛みが予想される場合、治療後すぐに痛み止めを服用すれば、痛みを感じにくくすることも可能です。
また、歯科医院で処方された痛み止めを指示どおりに服用すると、効果的に痛みをコントロールできます。ただし、痛み止めは根本的な治療ではなく、一時的な対処法です。痛みが長引く場合や強くなる場合は、必ず歯科医院で診察を受けましょう。
患部を外側から冷やす
患部を冷却すると、血管が収縮し、炎症の広がりを抑える効果が期待できます。冷やし方のポイントは、下記のとおりです。
- タオルで包んだ保冷剤や氷を頬に当てる(直接肌に当てない)
- 1回につき10〜15分冷やし、そのあと少し間をあけて繰り返す
- 過度に冷やしすぎると逆効果になるため注意する
痛みが長引いたり、冷やしても改善しなかったりする場合は、歯科医院に相談しましょう。
刺激の強い食べ物やお酒を控える
治療後の歯はデリケートな状態のため、下記のような食品は、痛みを悪化させる原因になります。
- 熱い・冷たい飲み物や食べ物:コーヒー・アイスクリーム・熱いスープなど
- 辛いものや酸っぱいもの:唐辛子・柑橘類・炭酸飲料など
- アルコール類:血流が良くなり、炎症が悪化する可能性
また、硬い食べ物も歯に負担をかけるため、治療後しばらくは軟らかい食べ物を選ぶのが無難です。歯が落ち着いてくるまでは、なるべく刺激を避けることで、痛みを抑えられます。
まとめ

虫歯の治療は、近年の技術の進歩によって、痛みを最小限に抑えることが可能です。最新の麻酔技術や精密な治療方法の工夫により、多くのケースで快適に治療を受けられます。
しかし、治療後に一時的な痛みが生じることがあるため、適切な対処を行うことが大切です。
「いとしま総合歯科インプラントクリニック」では、患者さまの痛みに配慮した治療を提供しています。
極細の針や表面麻酔などを活用しています。治療時の緊張を和らげるために、完全個室・半個室を完備しているのも特徴です。
痛くない歯科治療を求める方は、「いとしま総合歯科インプラントクリニック」へお越しください。
この記事の監修者

院長 星元健佑
当院院長の星元健佑です。私が、診療において常に心がけているのは、「自分の家族だったらどの治療を選択するか」ということです。
治療法に関しては、でき得るすべての治療法のメリット・デメリットを丁寧に患者様にご説明した上で、ベストだと思う治療法をお伝えいたします。
しかし、最終的に決断されるのは患者様ご自身ですので、決して私の考えを押しつけるようなことはいたしません。
もちろん、自由診療だけをお勧めすることもありませんので、費用面でご不安に感じている方は安心して受診いただけたらと思います。
当院では、月に1回午後を休診にし、勉強会とスタッフのトレーニングを実施しており、スタッフ全員のスキルアップにも取り組んでいます。
また、口腔内スキャナーや歯科用CTなども活用し、専門的な診療を提供できる体制づくりにも注力。口腔内を総合的に診られるのが当クリニックの特徴です。
お口に関してお困り事があればお気軽にご相談ください。
〈略歴〉
私の歩みは、2016年に長崎大学歯学部を卒業したことから始まりました。2017年には鹿児島大学での臨床研修を修了し、特に口腔外科の技術を学びました。2018年はオパールデンタルクリニックで、インプラント治療やセラミック治療の技術を身につける機会に恵まれました。
その後、2022年にはカナダへ単身で渡り、国際的な視野でさまざまな知見を吸収する貴重な経験を積みました。
帰国後は、九州の複数の歯科診療所で実践を重ね、患者さま一人ひとりに寄り添った治療を学びました。
2024年からは、当院の院長として、皆さまの健康と笑顔のお手伝いができるよう努めています。