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初期の虫歯「黒い点」が見つかったらどうする?原因から対処法まで解説 

歯に小さな黒い点が見つかると、虫歯かも?と不安になりますが、必ずしも進行した虫歯とは限りません。

初期段階であれば自然治癒できるケースもあり、早期の対応がとても大切です。

本記事では、黒い点ができる原因や初期虫歯との見分け方、自然治癒のためのケア方法、進行時の治療法まで徹底解説します。

歯を削らずに守るためにも、正しい知識と対処法を知っておきましょう。

目次

歯に黒い点がみられる原因

歯の表面や噛み合わせ部分に黒い点が見つかると、多くの人が「虫歯かもしれない」と不安になります。

実際、黒い点は初期の虫歯であるケースが多いものの、必ずしも虫歯とは限らず、別の原因によって同じような見た目になることもあります。

ここでは、黒い点の主な原因として考えられる4つのパターンについて、詳しく見ていきましょう。

初期の虫歯

歯に現れる黒い点のなかでもっとも代表的なのが、CO(要観察歯)やC1(エナメル質う蝕)と呼ばれる初期段階の虫歯です。

脱灰と呼ばれる現象によって歯の表面が酸で溶かされ、カルシウムなどの成分が失われ始めた状態です。

この状態では基本的に痛みはなく、自覚症状がないまま黒く見えることがあります。

特に慢性化した初期虫歯は、再石灰化によって表面が硬くなることがあり、それが黒っぽく見える原因になります。

つまり、進行が止まっている状態でも色が残るケースがあるため、見た目だけでは進行度を判断できないのです。

虫歯が広がっている

黒い点が表面にわずかに見えていても、実際は歯の内部で虫歯が大きく広がっているケースもあります。 

エナメル質の硬さと構造によって、見た目より中の方が先に侵されてしまう「隠れ虫歯」に近い状態です。

特に子どもの乳歯や生えたての永久歯では歯質がやわらかく、虫歯が神経の方まで急速に進行しやすいため注意が必要。

見た目には「小さな点」でしかないのに、ある日突然痛みが出たり、歯が欠けたりすることもあるため、定期検診での早期発見が大切になります。

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着色汚れ

歯の黒い点が虫歯ではなく、食べ物や飲み物による着色汚れである場合も少なくありません。 

この着色は「ステイン」と呼ばれ、主にコーヒー、赤ワイン、紅茶、チョコレート、カレー、タバコのヤニなどに含まれる色素が歯の表面に付着し、黒や茶色っぽく見える現象です。

歯の溝や細かい凹みに色素が溜まりやすく、虫歯のような点に見えることもあります。

ただし、着色自体に健康被害はなく、歯のクリーニングによって簡単に除去できることがほとんど。

見た目が気になる場合や、他の歯と色の差が目立つと感じたら、歯科医院でクリーニングしてもらいましょう。

黒い歯石の蓄積

一部の黒い点は、実は「黒い歯石」によってできていることもあります。

通常の歯石は白っぽい色をしていますが、歯茎の出血や細菌の働きによって、鉄分や血液が混ざることで黒く変色してしまうケースがあるのです。

特に歯と歯茎の境目や奥歯の内側など、磨き残しが出やすい部分に黒い歯石がたまりやすい傾向があります。

虫歯のように進行して歯を溶かすわけではありませんが、放置すると歯周病の原因になり、歯のぐらつきや口臭につながるリスクが高まるでしょう。

歯石は自宅で取り除くことができないため、歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせません。 

黒い点の段階で虫歯は自然治癒できる?

歯の表面にできた黒い点が初期虫歯である場合は、適切なセルフケアによって進行を防ぎ、自然治癒も期待できます。

「CO」の段階であればごく初期の虫歯で、まだ歯に穴が開いていない状態です。

この段階では、丁寧なブラッシングやフッ素入り歯磨き剤の使用、食習慣の見直しによって再石灰化が促され、虫歯の進行を止められる可能性があります。

唾液の働きや日々の口腔ケアによって、歯の表面に再びミネラルが戻り、エナメル質が修復されることもあるのです。

しかし、黒い点が深くなり、歯に穴があいてしまった場合は、自然治癒は不可能です。

その時点で虫歯は「C1」や「C2」以上に進行している可能性があり、治療としては歯を削って詰め物をする必要が出てきます。

つまり、黒い点の時点で異変に気付き、早めに対処するかどうかが、歯を削らずに守れるかどうかの分かれ道になります。 

黒い点以外で初期の虫歯にみられる症状

初期の虫歯は必ずしも黒い点として現れるとは限りません。

むしろ、日々のセルフチェックの中でこうした異変に気付くことが、虫歯を早期発見するヒントになります。

初期の虫歯で、黒い点以外にみられる症状は以下の3つです。

  • 歯が白く濁る
  • 歯が茶色く変色する
  • 歯の表面がザラザラする

それぞれどのような状態であるのか、確認してみましょう。

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歯が白く濁る

虫歯のはじまりでは、歯の表面が通常のつややかな白色とは異なり、マットな質感の白い斑点のように見えることがあります。

これは「脱灰」と呼ばれる現象で、エナメル質が酸によって溶け始めている状態。

一見ただの白い部分に見えても、これが初期の虫歯のサインである可能性があります。 

要観察の段階と言って良いでしょう。

歯が茶色く変色する

エナメル質の表面が酸によって傷ついた状態が進行すると、歯が茶色っぽく見えることがあります。

これは表面が荒れたことで着色汚れが付きやすくなり、色素が沈着した結果です。

変色が見られたときは、虫歯が少しずつ進んでいる可能性があるため、経過観察や専門的なアドバイスが必要です。

歯科医院で早めにみてもらいましょう。

歯の表面がザラザラする

歯を舌でなぞったとき、表面が滑らかではなくザラザラしていると感じたら、それも初期の虫歯の兆候かもしれません。

健康なエナメル質はツルツルとした感触があるため、質感の変化は歯のミネラルが失われ始めているサインです。

この段階で気づければ、虫歯の進行を防げる可能性が高いでしょう。

初期の虫歯を自然治癒させる方法

黒い点が見えるだけの初期虫歯であれば、削ることなく自然治癒できる可能性があると解説しました。

ポイントは、脱灰を抑え、再石灰化を促す環境を整えることです。

ここでは、日常生活の中で実践できる、初期虫歯対策の方法をご紹介します。

正しく適切にブラッシングする

毎日の歯磨きは、初期虫歯の進行を防ぎ、再石灰化をサポートする基本的なケアです。

間違った磨き方では歯垢が残り、虫歯菌が活動しやすくなるため、正しい方法で丁寧に磨いてください。

正しいブラッシングの方法を以下にまとめました。

  • 毛先の開いた歯ブラシは使わず新しいものに定期的に交換する
  • ブラシのヘッドは小さめのものを選び細かい部分に届きやすくする
  • 一度に広い範囲を磨くのではなく1本ずつ丁寧に磨く意識をもつ
  • 歯茎や歯の表面を傷つけないように力を入れすぎず小刻みに動かす
  • 歯と歯茎の境目に溜まりやすい歯垢をやさしくかき出すように磨く

歯ブラシだけでは届かない隙間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると効果的です。

こうした日々の積み重ねが、虫歯の進行を食い止めるカギとなります。

食事の回数や時間に気を付ける

虫歯が進行する背景には、食事の仕方が大きく関わっているのです。

食事を摂るたびに口の中は酸性に傾き、エナメル質が溶かされる「脱灰」が起こります。

その後、唾液の働きによって歯の表面にカルシウムやリンが戻る「再石灰化」が始まり、ダメージを修復しようとします。

しかし、間食が多かったり長時間にわたって飲食を続けると、再石灰化のチャンスが減ってしまい、脱灰の状態が長引いて虫歯が進行してしまうのです。

そのため、食事はなるべく決まった時間にとり、間食を控えることが再石灰化を助けるために大切。

また、再石灰化を促すには、カルシウムやリン、ビタミンDなどの栄養素も必要です。

乳製品や小魚、大豆食品、緑黄色野菜などを積極的に摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。

フッ素入りの歯磨き粉やマウスウォッシュを使う

フッ素は、初期虫歯の進行を止めるために効果的な成分です。

歯のエナメル質を強化し、再石灰化を促進するとともに、虫歯菌の働きを弱める効果があります。

日常的に使えるフッ素配合の歯磨き粉やマウスウォッシュを活用すれば、初期の虫歯に対する自然な回復力を高められるでしょう。

「フッ素濃度1450ppm」と記載された歯磨き粉は、再石灰化のサポートに適しており、ドラッグストアなどで簡単に手に入ります。

また、フッ素をより効果的に歯に浸透させたい場合は、歯磨き後に口をゆすぎすぎないこともポイント。

少量の水で軽くすすぐか、マウスウォッシュと併用し、フッ素の効果を持続させましょう。

歯科医院でクリーニングを受ける

初期虫歯の自然治癒を目指す上で、プロによるクリーニングは最も効果的だと言っても過言ではありません。

歯科医院では、専用の器具を使い自分で落としきれない歯垢や歯石を徹底的に除去してくれます。

虫歯菌のすみかとなる汚れが取り除かれ、口腔内の環境が整いやすくなります。

クリーニング後はフッ素も塗布してくれるため、再石灰化をより効率的に促せるのです。

また、定期的に検診を受けておくことで、黒い点が本当に初期虫歯なのか、あるいは別の問題なのか専門的に判断してもらえます。

セルフケアでも黒い点が改善されなければ、早めに歯科医院で診察してもらいましょう。 

黒い点が初期の虫歯かどうかを確認する方法

歯に現れる黒い点が、本当に初期の虫歯なのか、それとも着色汚れや歯石など別の原因なのか正確に判断するには、歯科医院でみてもらうのが一番です。

見た目だけでは判別が難しいため、専門の設備を用いた検査を受けることで、治療が必要かどうかの判断をしてもらえます。

ここでは、歯科でよく用いられる、2つの代表的な検査方法を紹介します。

歯のレントゲンを撮る

レントゲン検査は、虫歯の進行具合や深さを把握するために用いる検査方法です。

パノラマ撮影では口全体の状態を広く確認でき、どの歯に問題があるのか把握できます。

一方で、デンタルと呼ばれる小さなレントゲンでは、歯と歯の間の小さな虫歯や、虫歯が神経にどれだけ近づいているかといった、細かい部分の確認が可能。

複数のレントゲン画像をもとに総合的な判断がなされるため、表面から分かりにくい虫歯の広がりを発見する手がかりになります。

レーザーで虫歯の深さを測る

肉眼やレントゲンでは判別が難しい初期の虫歯を見極めるには、レーザー機器による測定が実施されます。

「ダイアグノデント」という装置は、レーザー光を使い歯の内部の状態を数値化し、虫歯の進行度を客観的に示してくれます。

レントゲンでは写らない浅い虫歯や、エナメル質の脱灰状態も確認できるため、削るべきかどうかの判断材料として活用されるのです。

ただし、数値が高い場合でも、必ずしも治療が必要とは限らず、あくまで他の検査結果と合わせて総合的に判断されるのが一般的です。

黒い点が奥まで進行していた場合の治療方法

黒い点が表面の変色や初期虫歯ではなく、歯の内部まで虫歯が進行している場合は、削って詰める治療が必要になります。

虫歯の範囲が小さいうちは、虫歯の部分を除去して白い樹脂を詰めるだけで済みますが、進行が深い場合は、型取りをして銀歯やセラミックの被せ物を装着する治療になるでしょう。

さらに、虫歯が神経に達してしまった場合は、神経を取り除く根管治療が必要となるケースもあるため、早めに対処しなければいけません。 

いずれにしても、歯科医院での正確な診断と早期の治療が、歯をできるだけ残すための最善策です。

黒い点が見つかったら早めに歯科医院へ

黒い点が見つかったとき、それが初期の虫歯かどうかを見極め、正しく対処することが歯を守る第一歩です。

適切なケアで自然治癒が可能な場合もありますが、放置すれば進行し、治療が必要になることも。

早期発見・早期対処のためにも、気になる症状があればいとしま総合歯科インプラントクリニックへご相談ください。

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